誇れ、雷鳥

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「つってもお前の正体が分かってるわけでもねぇけどな。狐の魔獣で強そうなのは一個しか知らねぇけど、お前尻尾は一本だし」 「何れヌシには話すわ。儂の因子は『狐』としてはそこまで有名なものではないのでな」 そんな話をしていると一人の兵が駆けてきた。 「敵軍、作戦通り動き始めました!」 「うむ、ご苦労。では始めるかの」 マリアの頭から狐耳が飛び出す。全身の毛が逆立つかのような圧倒的魔力。 「『立つは鉄、花散る間際に番の蝶』」 詠唱。魔法のイメージが足りない未熟者が使う物という感覚が強いが『魔砲士』に限り違う意味を持つ。 「『薫風香る我が社、踊れや歌えや花見酒』」 それは魔法の規模を大きくすること。一回の魔法に込められる魔力量を言葉によるイメージを補填することで増大させる。 ましてや今それを行っているのは規格外の魔法使いであるマリア。その大きさは、計り知れない。 チフユ以外の近くにいる人間は全員鳥肌が立っていた。
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