誇れ、雷鳥

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「『紅蓮の花弁が散り舞えば、歌声贈る春の音』」 魔法が完成する間際、誰もが成功を予想した。一人を除いて。 「『梅札―うぐぅ!!」 「え?」 チフユが、マリアを突き飛ばした。『瞬動』を使って全力で。 叩いた位置はマリアの心臓の位置。ほぼ手加減無しの一撃でバキィ!という鈍い音がマリアの身体に響く。 それとほぼ同時。チフユの右手の甲に銃弾によって風穴が空いた。 つまりは、さっきまでマリアの心臓があった位置に銃弾が飛んできた。 「チッ……利き手が」 既に『痛覚無視』を使っているようで怪我を意に介さないチフユ。 ミナツと違って『先見』が無いチフユ。遠方から飛来する小さな銃弾を視認してから超反応でマリアを救った。 視覚、聴覚による判断が大きいミナツでは自分はまだしもマリアを守ることは出来なかっただろう。 しかし、まだ劣勢は変わっていない。チフユは倒れているマリアの前に庇うように立った。
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