誇れ、雷鳥

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* 「『武神姫』と『金色』は仕留めきれなかったけど無力化したわ」 「ありがたや、ありがたや」 ニーナからの通信にハニバルはそう返事をした。 「今逃げてるからよく分かんないんだけど、戦況はどうなってるの?」 スナイパーは基本的に単独行動。ゲリラ戦ならともかくこういう戦争の場では居場所が割れたらすぐに逃げなければならない。 ニーナは対人戦も苦手ではないが一対多数では流石に分が悪い。 よって今回のニーナの狙撃の仕事は一旦終了である。 「いやはや、困ったことになってな」 「どうしたの?」 「『鉄槌童子』が若干東寄りに引いたから囲むつもりかと思うてな。そんな小細工ごと蹴散らそうと薄くなった中央を突破したら肝心なところに城が出来おったわ!ガハハ、参った参った!」 何が可笑しいのか馬鹿笑いするハニバル。 「笑ってる場合なの?」 「まぁ、笑い事ではないわな。この城は破るのは骨よ。時を待つしかあるまい」 「まったく………え?」 ニーナはある一言を聞き逃さなかった。 「今、『この城』って言わなかった?」
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