誇れ、雷鳥

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今退けば部隊に大きな被害が出る。それでは意味が無い。 「その必要はありません」 その通信にイリカの声が割り込んだ。 「セリスさんはそのまま応戦してください」 「真ん中どうすんだよ!」 中央部隊の人間が怒りを全面に出して大声を出した。 「落ち着いて下さい。トメさんとチフユさんが離脱したとは言え中央部隊は一番兵を厚くしてあります。早々破られません」 「だが、このままでは士気が……!」 「オレが行く」 再び割り込んだのはライの声だった。 「耐えるだけでいいんだろ?それなら何とかしてやる」 「出来るのか?」 セリスが注意深く聞く。 「そんなにオレ信用ねぇか?一応革命家なんだがな」 「違う」 セリスは一呼吸置いて言った。 「本当に、『今』のお前で持ちこたえさせることが出来るんだな?」 「………………」 ライは少し黙った後、答えた。 「ああ。『今』のオレだからこそ出来ることがある」
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