誇れ、雷鳥

41/104
前へ
/1704ページ
次へ
その言葉を受けてセリスは決断した。 「分かった。出来るだけ早く片付けてそっちに行く」 「いや、『急がなくていい』」 中央部隊の人間が騒ぐ中、ライははっきりとそう言った。 「何?」 「時間をかけてでもいいから確実に勝ってこい」 「どういうことだ?」 「相手の指揮……何かきな臭いです」 イリカが自身の考察を述べる。 「指揮官が最前線に突っ込む。言うまでもなく愚策ですが相手が百戦錬磨の『将王』であるなら、その行動に何か意図があると見るべきです」 「だとすると考えられるのはこの前イリカがやった『挑発』。あるいは―」 「『誘導』か」 ライが言う前にセリスが答えを出した。 「はい。指揮官を前に出すことによって攻め手をそこに集中させる。それが狙いの場合が一番厄介なんです」 この読み通りであるならば固まった部隊を一網打尽にする何かがあるということ。それが通ってしまえば敗北は必至。
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46125人が本棚に入れています
本棚に追加