誇れ、雷鳥

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上手く行けばセリス達を孤立させ殲滅出来るかもしれない。尤も、それは美味すぎる話ではあるが。 「こちらガラン、撤退する!西部隊、状況報告!」 ガランは通信機に向かって大声で叫ぶ。 「こちらバァル。『巨兵』をもう少しで押し切れそうっすね」 応えたのは『狗』であるバァル。通信機越しにウェイカーの馬鹿みたいな大声が聞こえる。 「出来るだけ引っ張ってみるけど、そっちに行ったらスマン!」 「いっすよ。先輩、今回ちょっと厳しかったですしまぁ、運が悪かったっすね」 ドゴゥ、という打撃音が響く。当たった音なのか当てられた音なのかは不明だ。 「お相手さん、士気も下がってるみたいですしこのまま行けば順当に―」 そこで、バァルの言葉が途切れた。 「どうした?」 「先輩、前言撤回します。時間かかりそうです」 「何?」 「ハニバルさんが突っ込んだ時、こんな馬鹿は歴史上見ても早々居ないと思ってたんすけどね」 バァルは溜め息をついた。 「馬鹿は相手にも居た」
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