誇れ、雷鳥

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火薬。もし。もしもだ。 大量の火薬を積んだ部隊が兵の固まった場所で突撃してきたら。 まず間違いなく大損害を被るであろう。 その突撃と同時にハニバルが指揮して兵を下げさせれば向こうの被害は最低限に抑えられる。 『どうする?』 セリスが決断を迫る。イリカが取れる選択肢は二つ。ここでその隊を奇襲するか、中央まで援軍に戻って貰うか。 前者は確実性はないが敵の策を潰せるかもしれない。しかし、外れた場合セリス達の援護が遅れる。 後者は中央の戦況を引っくり返せるが、多少なり火薬による被害が出る。 こちらも予測はしているので対応は出来る。無難なのは後者。 「その隊に奇襲をしかけて下さい」 しかし、イリカが選択したのは前者。中央はライのおかげで時間が稼げている。 そしてこの奇襲が成功すれば何の心配もなくハルカ率いる本隊がハニバルを打倒出来るのだ。 敵は『撤退将軍』の異名も持つ男。その男が退かないということはまだ何か勝算がある証。
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