誇れ、雷鳥

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ウェイカーはグルグルと腕を回した。これで仕留めると言わんばかりに。 「そんな鈍重な速さで俺に攻撃を当てられるかよ」 「分かっておらぬな。戦場において、『速さ』など必要ない」 ウェイカーは大きく回り込むように遅いなりに走る。 「必要なのは相手の攻撃を受けても倒れない『耐久』と、一発で相手に致命傷を負わせることの出来る『攻撃力』。貴様は『種族』からして、もうオレに負けておるのだ。さて、これだったな」 「チッ……!」 ウェイカーは、円を選んで自ら踏んだ。その効果は、『アクセル』。魔法で足を強化し、両足で踏み込んだ。 相撲。ジアの格闘技であるがウェイカーのそれは相撲の仕切りに酷似していた。 身体が大きい人間が組み合う鈍重な格闘技、という印象が強いがそれには大きな語弊がある。 最初の一歩。つまりは敵にぶつかる為に踏み込む一歩。 それだけで見れば相撲はあらゆる格闘技の中でも『世界最速』である。
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