誇れ、雷鳥

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「今更そんな円で何が出来る?悪足掻きだとしても滑稽だな」 「お前を殺れる」 グレイは銃口をウェイカーに向けた。ウェイカーは念のため右腕を前にしてガードの姿勢。 「礼を言うぜ。どうやって距離取ろうか困ってたからな」 「新しい円、ということか?」 「何度も言わせるな。オレは自分の手の内をわざわざ話したりはしない。だが、一つだけ言うなら―」 グレイは撃鉄を引き上げた。フリークマンファミリーのボスとしての威厳がウェイカーに鳥肌を立たせる。 「この一発でお前は死ぬ」 「……戯れ言だ」 「果たしてそうかな?」 グレイは誘っている。ウェイカーはそれが分かっている。 その誘いを蹴るのは簡単だ。円から外れるように回り込めばいい。 しかし、ウェイカーのプライドがそれを邪魔する。一度ポンコツと言ったそれに恐れをなしているのかと。 グレイは既に満身創痍だ。これ以上動けないことは明白。その相手に、恐れるのかと。
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