誇れ、雷鳥

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ハルカはそれを仕留めきれるのか?という意味で聴かれたのかと思った。 「大丈夫よ。こっちはこの展開を予想して『速さ』を重視してるもの。いくら『撤退将軍』とは言えど、この距離なら逃げられない」 「だが……」 「それに、後ろにあんたが居るし。あとあんま頼りにしてないけどフロウも敵に潜入してるんでしょ?少なくとも、負けはないわ」 ハルカはこれ以上留まる訳にはいかないと全力で駆け出した。 ライはそれを訝しい目で見送っていた。 「やれやれ」 兵が全て出て誰も居なくなった場所に一人、ライが頭を掻いて溜め息をついた。 「後ろに誰か居ることで士気を上げる、か。当初の目的は達成出来たが、この展開はマズいな……」 ライは一点だけ。そう。何よりも大事な一点だけに引っ掛かっていた。 それは潜入した人間が現状で一切アクションを起こしていないということ。 ライはそれだけがどうしようもなく不安だった。
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