誇れ、雷鳥

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* 「完敗、じゃな」 撤退しつつ、自分達が攻撃していた城が全く違う場所にあったことにハニバルは気付いた。 「これほど鮮やかな魔法の幻は『感覚封じ』しか知らんかったが、向こうはまだ主力を隠していたらしい」 「将軍、敵から追撃部隊が。恐らく本隊かと思われます。また、『反抗左翼』の軍もこちらに向かっているようです」 「足は?」 「………我が軍より速いかと」 「ヌシのそういうところは嫌いではないわ」 ハニバルは全隊に通信を繋いだ。 「全隊に告げる。これより撤退戦に入る。次の内どちらかを選べ」 『………………』 「一つ。出来るだけ散開して逃げろ。生き残る確率はそれなりにある」 誰かが息を飲む音が聞こえる。が、ハニバルはそれを無視した。 「二つ。足止めとして敵軍に全力で突撃せよ。ほぼ確実に死ぬ」 『……何故それを、我らに選ばせるのですか?』 その疑問は尤も。いつものハニバルならどの部隊がどうするか指示を出す。
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