誇れ、雷鳥

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ハニバルに死ねと言われたら死ぬ覚悟がある人間ばかりなのだ。投げっぱなしの指示に困惑するのは当然。 ハニバルはそれに対して淡々と回答をした。 「儂は現時点を持って指揮官では無くなる」 『それはどういう―』 「死に場所を見つけた」 通信を聞いている者は誰もが理解した。ハニバルは敵軍に突撃する気だと。 『将軍!まだ諦めるには早すぎます!』 『貴方は我が国の宝なのです!』 『我らが敵を引き付けます!ですから!』 「黙れい!!!」 ハニバルの怒声が全員を一発で黙らせた。 「儂がこの国の宝だと!?笑わせるな!生い先短く、日々くすんでいくしかないこの儂に何の価値がある!? 儂なんぞただ少し運良く戦場を生き延びてきた酒とチェスが好きなだけのクソジジィじゃわい!」 『………将軍』 「シモンの言うとったことがようやく分かったわ。これは確かに、何よりも堪える……」 シモンは銃で、ハニバルは指揮で名を馳せた。それは、それだけ人を殺してきたことの証。
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