誇れ、雷鳥

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セリスは歯噛みする。悔しいが、この隊を突破するには時間がかかる。 統率しているガランを倒せば早いのだろうが、一筋縄では行かない。下手を打てばこっちがやられる。 逆転の手が思い付かない。イリカからの通信も止まっている。 マリアやチフユは無理をすれば出てこれなくもないだろうが足りない。 この状況を打破するのに居るのは個ではなく数だ。時間が立つ程にそれが顕著になっていく。 このままなら敗走まで考えなければならない。一応、イセンを囮にすればガルへと逃げる道はある。 その決断は、間違いなく早い方がいい。ハルカとグレイに死なれたら、それこそ完全敗北なのだから。 「減らず口が、減ってきたなぁ!セリス!」 「お互い様だ」 こめかみに飛んできた蹴りを片手で受け止めハンマーで凪ぎ払う。 ガランは大道芸の傘の上を転がる球のようにハンマーの攻撃を回避した。 「あぶねぇ!」 「腹立たしい……」 その時セリスはハンマーを手放した。重りを無くしたことで多少素早くなる。
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