誇れ、雷鳥

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* 「うわぁぁ!!」 「駄目だ、逃げろ!」 包囲されている中央部隊は混乱していた。絶対的な優位に立っていたと思ったら突き落とされたのだ。無理もない。 そんな中でも比較的冷静を保っている部隊が居た。 「ブラウ、騎兵隊の援護を。リュートは撤退兵の補佐。後ろで突撃の準備をさせろ」 「いや、ボス。あんたがまず退いて下さいよ」 「士気上がるって言っても腕折れてますしね。それに、今士気上がったところで焼け石に水ですし」 「今退こうが後で退こうが、勝てなきゃ何れ死ぬ。それが早いか遅いかだけの話だろ?」 フリークマンファミリー。流れ魔法が飛んでこようが会話はいつもの調子。 「……援護したぐらいであれを突破出来るとは思いませんがね」 ブラウゼルが視線を向けたのは敵重装兵の、『前』にいる集団。 「助けてくれー!」 「こんなんで死にたくねぇー!」 みすぼらしい格好をした、何の武器も持っていないどころか、戦う意志さえ見せない奴隷だった。
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