誇れ、雷鳥

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レジスタンスにも諦めずに包囲の突破を試みる者は居る。今も騎兵隊が相手に突撃を仕掛けた。 「やめてくれー!」 「ちぃ……!」 その時、奴隷達が効果を発揮する。あの奴隷達は戦意が無い。それが問題なのだ。 レジスタンスの人間は人を殺したくて戦争をしている訳じゃない。国を倒す為に戦っている。 つまり、自分達に向かってくる明確な敵を確固たる意志のもと殺しているのだ。 そこに自分達を敵視していない奴隷達が現れれば当然躊躇いが生まれる。 出来るだけ殺さないように突撃する。騎兵隊が通った道が新たな奴隷で埋もれ後が続かない。 そしてそんな勢いの無い突撃は、重装兵の格好の獲物。騎兵隊は無惨に散っていく。 「魔法隊、撃てー!」 重装兵の後ろからは魔法が飛んできて奴隷に戸惑っている兵を撃ち抜いていく。 奴隷もその魔法に巻き込まれ倒れていく。生き残った奴隷は歩みを止めた。 「何をしている、進め!」 「でも、死体が……」 「はっ。ゴミが散らかっているだけだろう?踏みつけて進め!」 後ろから槍を突きつけられ涙を流しながら奴隷は死体を踏みつけて進んでいた。 「ひでぇことしやがる……」 グレイは口調は穏やかなれどこめかみには青筋が浮かんでいた。
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