誇れ、雷鳥

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「どうせ死ぬんだ。強制はしない。お前らが降りるってならオレ一人でも行く」 ドグは奴隷になってから日が浅いのか。それとも生まれつき持った強さなのか。ルゥには信じられなかった。 「……極東では、自分の生き様を見せつけるのに敵にかかるより前に腹を切るらしいぜ」 「バド……」 「オレは勝手にやる。お前らのことは知らん」 バドはドグに背中を向けた。 「わたしは、乗るよ」 フゥは笑顔を浮かべた。 「死ぬ時は一緒、そう言ったもんね。ドグくんだけ一人で逝かせないよ」 「フゥ……有り難う」 二人の視線がルゥに向く。ルゥは首を振った。 「無理、だよ。貴族に逆らうなんて考えただけで、震えが止まらない。僕は、もう負けてるのさ」 「………分かった」 ドグは諦めた。二人と二人は背中合わせになる。足音が遠ざかっていくのが聞こえた。 「……意外だね」 その空気が嫌になり、ルゥはバドに話しかけた。
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