誇れ、雷鳥

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「何がだ?」 「バドは、ドグ達についていくと思ったよ」 「何で?」 そう聞かれてルゥは少し考えた。 「バドって代わりに罰を受けたり、なけなしの食料分けたり、他人を良く気にしてたしさ」 「……………」 「ほら、それにドグとフゥは奴隷にしては珍しくてさ!底なしにいい人達だと―」 「ルゥ」 そのバドの声は、身体の芯が冷えるような感触を覚えた。 「何でお前は今、自分が見捨てた人間を良く言っている?」 「……っ!」 「いい奴だろうと悪い奴だろうと、もう終わったことだ。忘れろ」 バドの言葉は無情で、残酷で、しかし、現実だった。 これからルゥとバドは前線に出る。そして潔く死ぬのだろう。貴族の命令通りに。 それが当たり前だと思っていた。そうやって死ぬ人生なのだと。 ルゥは納得していた。しかし、そう思う度にドグとフゥの顔が過る。 ルゥは死地へと向かう足を止めた。先に歩いていたバドが気付いて振り向く。
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