それぞれの道

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俺はバイト先に戻ると、休憩室の自分のロッカーに洗濯して乾かした衣服を入れた。そして、閉店の23時まで働いた。 「小林くん、先に帰るから!戸締まりよろしく~」 「わかりました」 バタン 今、一緒に最後まで働いていた先輩が俺に挨拶をして帰った。時間は23時30分を過ぎていた。 俺は休憩室の椅子に座り、タバコを吸っていた。……鬼塚さんを待っていたのだ。 暫くして バタン 「お疲れ!」 鬼塚さんが休憩室に来て、俺を見て挨拶をした。 「お疲れさまです」 俺は鬼塚さんに挨拶をした。 鬼塚さんは着ていたコートを椅子にかけるとその椅子に座った。 「今日は客が少なく、暇だっただろ?」 「いえ……10時くらいから客が増えて、暇ではなかったです!!」 「そうか…忙しかったか…」 そう言うと、鬼塚さんはコートの右ポケットからタバコとライターを出して、タバコを吸った。 俺はタバコの火をテーブルに置いてある灰皿で消した。そして、テーブルに置いてあった缶コーヒーを一口飲んだ。 「まさお……あれ歌ってくれ!!」 「あれ…ですか…」 「そう……あれ……『23歳の別れ』……」 鬼塚さんは真面目な顔で言った。 「『23歳の別れ』ですか……」 ……『23歳の別れ』とゆう曲は歌手の『嵐山』の大ヒット曲。悲しいカップルの別れの歌。以前、俺は路上でこの曲を歌っていた。鬼塚さんの前では歌ったことがなかった。 俺はどうして鬼塚さんがこの曲をリクエストしたのかこの時はわからなかった。
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