俺とももこ

3/5
前へ
/39ページ
次へ
(ももこ……どうしたんだ?……なにかあったのか?……) 俺は喫茶店を出た後、ももこのことを考えながら、歩道を歩いていた。 ぴゅー ……季節は冬。薄手のコートでは北風が体にしみる。もっと、暖かいコートを買いたいのだが、お金がない。 (寒いな……今日は昨日より寒いぞ!!) 俺は両手を擦り、コートのポケットに入れた。 ……今日は12月20日。商店街の店舗にはクリスマスイベントの張り紙が貼ってあった。 (もうクリスマスかぁ……今年こそは、ももこと温泉でも行きたかったんだけどな……) ……俺は高校卒業して4年、職に就かずバイトをしながらある夢を追いかけていた。 俺は高校生のころアマチュアバンドのボーカルをしていた。地元では中々人気があった。……だが、高校卒業と同時にバンドは解散した。俺はバンドメンバーにこのまま続けて、プロを目指そう!!っと言ったのだが…… … 「俺たちはもう…お前についていけなくなった…」 「どうしてだ?」 「プロになる夢を諦めたんだ!!」 「!?」 「現実を見て……プロになんかなれないと思ったんだよ!……だから、俺たちはバンドを辞める」 「はぁ!?冗談だろう?……プロになっておふくろを楽させてやるって言ってたじゃないか!!」 俺はメンバーの胸ぐらを掴みながら言った。 「……夢を語っても、飯は食えないんだ!!」 冷たい目で俺を見て言った。 「そうかい!!」 俺は掴んでいた手を離した。……俺はメンバーに呆れた。こんな奴等とは思わなかった。 「……じゃあな!!」 バン バンドのメンバーは何処かに行ってしまった。 「くそったれ!!」 バコ 俺は部屋の壁を右手で殴った。……そして、一粒の涙が床に溢れ落ちた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加