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(ももこ……どうしたんだ?……なにかあったのか?……)
俺は喫茶店を出た後、ももこのことを考えながら、歩道を歩いていた。
ぴゅー
……季節は冬。薄手のコートでは北風が体にしみる。もっと、暖かいコートを買いたいのだが、お金がない。
(寒いな……今日は昨日より寒いぞ!!)
俺は両手を擦り、コートのポケットに入れた。
……今日は12月20日。商店街の店舗にはクリスマスイベントの張り紙が貼ってあった。
(もうクリスマスかぁ……今年こそは、ももこと温泉でも行きたかったんだけどな……)
……俺は高校卒業して4年、職に就かずバイトをしながらある夢を追いかけていた。
俺は高校生のころアマチュアバンドのボーカルをしていた。地元では中々人気があった。……だが、高校卒業と同時にバンドは解散した。俺はバンドメンバーにこのまま続けて、プロを目指そう!!っと言ったのだが……
…
「俺たちはもう…お前についていけなくなった…」
「どうしてだ?」
「プロになる夢を諦めたんだ!!」
「!?」
「現実を見て……プロになんかなれないと思ったんだよ!……だから、俺たちはバンドを辞める」
「はぁ!?冗談だろう?……プロになっておふくろを楽させてやるって言ってたじゃないか!!」
俺はメンバーの胸ぐらを掴みながら言った。
「……夢を語っても、飯は食えないんだ!!」
冷たい目で俺を見て言った。
「そうかい!!」
俺は掴んでいた手を離した。……俺はメンバーに呆れた。こんな奴等とは思わなかった。
「……じゃあな!!」
バン
バンドのメンバーは何処かに行ってしまった。
「くそったれ!!」
バコ
俺は部屋の壁を右手で殴った。……そして、一粒の涙が床に溢れ落ちた。
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