バイト

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俺は1人暮らししているアパートに着いた。そして、自分の家に入った。 6畳1間の小さな部屋。トイレと風呂は共同。部屋の隅に小さなキッチンがある。 「ふ~」 俺は薄いコートを畳の上に置き、畳の上に座った。 ちゃぶ台には灰皿が置いてあり、灰がたまっていた。 俺はズボンの右ポケットからタバコとライターを出した。 カチ すぅー はぁー 俺はタバコを一口吸った。 「……」 俺の後ろの押し入れには路上で歌う時に使うマイクと拡声器が入っている。その隣の押し入れには布団と俺の服が入っている。 反対側の壁にはテレビがある……ちいさなちいさなテレビ。そして、キッチン近くの壁には俺の愛用のギターが飾ってある。……知り合いが、いらないからやると言ってもらったものだ。 暫くして、ちゃぶ台の目覚まし時計を見た。 (6時か……) 俺はキッチンの隣にある冷蔵庫の中を見た。 (かまぼこに…魚肉ソーセージ…) 俺はこの2つを取り出して、ちゃぶ台に置いた。 かまぼこは5切れ、魚肉ソーセージは2本。 これが、今日の俺の晩飯だ。 正直言って今はお金がない……。バイトをしてギリギリ生きている。バイトの給料は家賃と光熱費と路上ライブを行う交通費でほぼなくなる。食事は路上ライブで稼いだお金で近くのスーパーで買うかももこがたまに来て、作ってくれる料理を食べていた。 こんな生活を4年続けている。
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