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岡野「な、な、なにって……あなたがっ!!」
(寝ぼけて、僕にでこチューしたんでしょおぉぉぉっ!!)
と、言いたいけど、それを言ってしまっても気まずくなりそうで、僕は言葉をそこで切って立ちあがる。
岡野「なんでもありません」
喜多嶋「……今のは忘れろ。……寝ぼけてた」
ぼそっと呟かれ、僕はカッと顔を赤くした。
岡野(寝ぼけてた?……ってことは、寝ぼけて、僕を恋人と間違えたってことだよね。なんだか、それがひどくショックだよ……)
「本当に?」
なぜか聞き返してしまう。
喜多嶋「……疑うな」
岡野「……そうですか……」
ただよう微妙な空気……。
岡野「冷えないうちに、お昼ご飯食べてくださいね。ブランチはチーズたっぷりのトーストなんだから、とろとろのうちにどうぞ」
喜多嶋「わかった」
僕はなんだか割り切れない空気を振り払うようにベッドルームを出た。
喜多嶋「……まいったな……わかってたのに、手放せなかった……」
なにか言われたけれど、聞きとれない。
岡野「え?」
喜多嶋「なんでも……ない」
岡野「それじゃあ、ご飯……」
喜多嶋「今、行く」
岡野(まだ、体に喜多嶋社長の熱が……残ってる……まるで僕の心の奥に、小さな火を灯したように--)
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