第8話

6/10
前へ
/34ページ
次へ
岡野「…………」 喜多嶋「…………」 そして、流れる微妙な空気と混じり合う視線……。 喜多嶋「せっかくだから、引っ越し祝いに何か買ってやる。好きなものを言え」 急に質問されて、目を見開いた。 岡野「欲しいものって……」 しばらく考える……。 岡野「頭を撫でてください」 控えめに言うと、喜多嶋さんが目を見開く。 喜多嶋「それが、いいのか?」 岡野「はい。一番です」 ぎゅっと感情を押し殺すような顔をした後、喜多嶋さんは僕に腕を伸ばした。 岡野「あっ」 そして、ゆっくりと優しく僕の頭を撫でてくれる。 喜多嶋「これで、いいか? 岡野(変にぎくしゃくしだしてから、初めて、ちゃんと撫でてくれた……。嬉しい……) 思わず涙ぐみそうだ。 喜多嶋「俺は、お前には家族が必要だと思った」 岡野「っ!!」 深い言葉に、目を見開く。 喜多嶋「だから、これが一番いいんだ」 岡野「えっ……それって、どういう……」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

166人が本棚に入れています
本棚に追加