166人が本棚に入れています
本棚に追加
岡野「…………」
喜多嶋「…………」
そして、流れる微妙な空気と混じり合う視線……。
喜多嶋「せっかくだから、引っ越し祝いに何か買ってやる。好きなものを言え」
急に質問されて、目を見開いた。
岡野「欲しいものって……」
しばらく考える……。
岡野「頭を撫でてください」
控えめに言うと、喜多嶋さんが目を見開く。
喜多嶋「それが、いいのか?」
岡野「はい。一番です」
ぎゅっと感情を押し殺すような顔をした後、喜多嶋さんは僕に腕を伸ばした。
岡野「あっ」
そして、ゆっくりと優しく僕の頭を撫でてくれる。
喜多嶋「これで、いいか?
岡野(変にぎくしゃくしだしてから、初めて、ちゃんと撫でてくれた……。嬉しい……)
思わず涙ぐみそうだ。
喜多嶋「俺は、お前には家族が必要だと思った」
岡野「っ!!」
深い言葉に、目を見開く。
喜多嶋「だから、これが一番いいんだ」
岡野「えっ……それって、どういう……」
最初のコメントを投稿しよう!