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そのとき、ガラッとヤマ兄の部屋の引き戸が開けられた。
「ぬわっ」と驚きの声に、ヤマ兄が冷たい目で返す。ああ、なんか久しぶりなのに、同じようなお互いのリアクションなのだ。
「まだ起きてたのか?」
「ヤ……ヤマ兄こそ。早く寝ないと?」
「うん。わかってんだけどな」
「うぬ」
「なんか寝れねー」
「もしかして、緊張?」
「緊張?」
「あ、明日がいよいよ決戦の日だからの」
「決戦ね」と、言って、腰を落とした。その手にはタバコと携帯。もしかして誰かに電話でもする気だったのか?
「つうか寒いだろ?」
「うぬ」
なにやってんだか、って、ちょっとあたしの身体を抱き寄せてくれた。
それでもやっぱり寒かった。
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