降り積もる思い。

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「寝れぬなら、歌ってあげよう子守唄」 あ。まるで、鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギスみたいな言い回しになってしまった。 「そんなんで寝た憶えあるか?」 「……記憶にござらぬ」 「そんなんなら、一緒に寝てくれたほうがよっぽどいいかも」 「へ?」 「馬鹿、冗談だ」と言って、あたしの顔をじっと見た。 「なんじゃ?」 「アサだなぁと思っただけ」 「うぬ。変化の術は使っておらぬぞ」 「なら良かった」と、零して、あたしの頭をぐりぐり頭皮マッサージする。 血行が良くなりそうだけど、ちょっと痛い。 「しつこいな」と鳴動しだした、携帯を見て呟いた。 あたしの知らない女子からの電話なのかと思ってその一言で不安になる。
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