33人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのね?
カナは僕と同じ高校に行かなかったことをものすごく気にしてたみたいだけど、僕は全然気にしてなかった。
寧ろ、お母さんの夢を叶えることを選んだカナをもっと好きになったんだよ?
だからカナが高校のことで悩んだり泣いたりする度にどうしたらいいのか分からなかった。
僕はそれでもカナが好きなんだよって伝えているつもりなのに届いてないのかなって辛いときもあった……」
私を抱き締め直して淡々と語るダイスケに私は何度も頷く。
「カナ、僕はすぐ横に並んでなくてもカナから目を離したりしないよ?
絶対にカナが見えるところにいる。
それだけは信じて?」
「私もダイスケから目を離したりしない。
もう1人で勝手に不安がったり拗ねたりしない。
だから、待ってて?
来年はきっと追いついてみせるから」
「うん。待ってる」
私たちはおでこをくっつけあってクスリと笑う。
そしてお互いベンチに真っ直ぐ座り直すと、私は自分の左側をダイスケは右側をキョロキョロと素早く見渡す。
「「大丈夫」」
一緒に囁きあって素早くキスをした。
これも私たちが決めているルール。
「今年もあそこで写真を撮ろう」
「うん!」
いつも通りすぐに何事もなかったように立ち上がるダイスケに私も倣う。
大きな桜の木の下でお互いのスマホを操りながら写真を撮った。
「次の春は大学の桜の下で写真を撮ろうね?」
その時には新しい自分になってダイスケに出会いたい。
もっともっと成長した姿で会おう。
未来の約束が出来る幸せを噛み締めながら私はダイスケに微笑みかけた。
ーーーENDーーー
最初のコメントを投稿しよう!