第6話

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「七海、おまえにもう一度――… キスしたい」 「んー…?」 最後の方、何て言ったんだろ…? それにしても、 酔ってるからだろうか? あたしに問いかけるこの声は 脳内をぐちゃぐちゃに溶かすような甘い声…で。 何度も聞きたい、何度も呼ばれたい、って思う。 「七海―――… いい?」 いいって、何が? 何のこと? ああ、わかった。 『水は、もういいのか?』って聞いてるんだ。 あたしのカラダは水を欲していたので、 自分に都合のいいように解釈をし、 「ちょう…だい、もっと。 もっと―――…」 返事をした。 「……?」 あ…れ? 後ろでとめていたバレッタがとられたみたい。 そして、どこかに置いたのだろう。  カチャンッと音が聞こえた。 
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