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それから、各々支度にとりかかり、常務の部屋を後にした。
車中では気まずくなることもなく
当たり障りのない世間話で盛り上がり、
あっという間に自宅に着いた。
2~30分程だろうか?
わりと近くに住んでいることが判明。
「ありがとうございました」
「ああ、じゃあな」
家に入って浴室へ直行し、
シャワーを浴びてようやく生き返った。
酔いもすっかり醒めて頭もすっきり。
洗面所に来て、
化粧水をつけようと棚に手を伸ばした時……
鏡に赤い刻印が映っていて、
急に複雑な心境に陥った。
その印を、一つ一つ指を滑らせながら撫でる。
「…」
結局、何もかもがあやふやで、
全てが有耶無耶のままなのだ……。
これから、常務にどう接するべきなのだろう……。
そんなこんなであたしの人生初の朝帰りは
複雑な心境で幕を閉じた。
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