第6話

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それから、各々支度にとりかかり、常務の部屋を後にした。 車中では気まずくなることもなく 当たり障りのない世間話で盛り上がり、 あっという間に自宅に着いた。 2~30分程だろうか? わりと近くに住んでいることが判明。 「ありがとうございました」 「ああ、じゃあな」 家に入って浴室へ直行し、 シャワーを浴びてようやく生き返った。  酔いもすっかり醒めて頭もすっきり。 洗面所に来て、 化粧水をつけようと棚に手を伸ばした時…… 鏡に赤い刻印が映っていて、 急に複雑な心境に陥った。 その印を、一つ一つ指を滑らせながら撫でる。 「…」 結局、何もかもがあやふやで、 全てが有耶無耶のままなのだ……。 これから、常務にどう接するべきなのだろう……。 そんなこんなであたしの人生初の朝帰りは 複雑な心境で幕を閉じた。

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