第一章 ミロダクトの村

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初めて向けられた殺意に戸惑うばかりでなく、『死』という単語だけが頭の中を占めていた。 「痛って!」 俺が呆然としていた間に、リーネが男のグルグルと包帯で巻かれた腕を噛んだのだった。突然の痛みに驚いた彼は、リーネを地面に振り払う。 今がチャンスだ!! そう思った俺は、すかさず木刀をベルトから抜いて跳び上がると、覆面の男にありったけの力をこめて振り下ろした。 しかし、自分なりに全力で振ったつもりなのに、男はいとも簡単に木刀を片手で受け止めた。 「え、マジ?」 俺がそう呟いた時、男は俺から木刀を奪い取り、俺の腹部に強い蹴りを入れた。 そのため俺は祭壇まで吹っ飛ばされ、背中を強く打ちつける。 「…っ!」 鈍い痛みを感じる背中を擦りながら思った。 …今のままでは絶対に勝てない。 このままでは、リーネもライアンも殺されてしまう! 今もなお、男はダガーを片手にリーネとライアンをゆっくりと追いつめようとしている。 …助けなきゃ!! でも、どうやって? よろけながら立ち上がると、祭壇の剣が視界に入る。これが、よくわからないが神の剣というならば……。 ライアンとリーネを救えるはず!! 村人たちが祀りたてる剣という事には一抹の不安を感じるが、今の状況ではそうも言っていられない。 俺は覚悟を決め、ただ二人を助けたい一心で剣の取っ手を掴んだ。 その瞬間、剣を縛っていた鎖が次々と弾けるように消える。 ライアンとリーネは二人で固まって震えていて、男が今にも斬りつけようとしているように見えた。 まずい! 『大事な人を救うために、この悪い奴を倒したい!』 そう思いながら、俺は鞘から剣を一気に引き抜いた。 すると、鞘を投げ放つと同時に剣先から刀身にかけて、紅蓮の炎が灯る。 な、何これ!? しかも、炎の勢いは止まることはなく、そのまま右腕まで呑み込もうとしているかのようだった。 「熱っ…!」 だがもう時間がない。俺は顔をしかめながら力が入るよう両手で柄を握りしめると、覆面の男に背後から駆け寄り、再び斬りかかった。 男は振り返った瞬間、驚いたように目を見開いた。 彼に掠りさえすれば、少しでも炎に怖気づいてくれれば…。 身を焼かれる熱さを感じていた俺は、それを期待してやみくもに剣を振るので精いっぱいだった。 そして、振り切った瞬間、
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