第一章 ミロダクトの村

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「村長命令じゃ!勝手にお前が止めるでない!」 すぐさま村長に怒鳴られて、母さんはそれ以上何も言わなかった。 「…わかりました。ならせめて、少し待ってください。」 母さんは村長を睨みながら静かに告げると、家へと駆けて行き、 しばらくして戻ってくると、一着の服を俺に差し出した。 それは白いラインの入った鮮やかな赤のジャケットで、父さんが若いころに買って着れなかったものだ。 俺とライアンが正義のヒーロ―みたいと言いながら着ていたなぁ。 いざ着てみると、当時ぶかぶかだった上着はいつの間にかちょうどよくなっている。 「…おっきくなったね。」 母さんはしみじみと言うと再び俺を抱きしめた。 「アレク…あんたは私のかわいい息子なんだから、絶対に帰っておいで。」 あまりに真剣に、心を込めて言われたから、なんだかくすぐったいようなきもちになる。少し大げさな気もするけど、やっぱりそれだけ大変なんだろうな。 「…うん。」 でもやっぱり嬉しかったから素直に頷いた。 そうして俺は、剣だけを頼りに村を後にしたのだった。
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