お前に拒否権はない

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ちょっと待って、どうしてそうなるの?あたしは対人班であって、これは仕入れ班に任せるべき仕事……。それなのに何で彼らに任せないんだろ?任せられない事情でもあるの? 「元帥、何故あたしなんですか?これはどう見ても仕入れ班に任せるべき内容なのに、どうしてあたしに任せるんですか!」 「……理由は二つ。まず、仕入れ班の中で手が空いている者が今はいない。本来任せるべき部署で手が空いていなければ、他の班の者を使ってでも補うしかない……」 そう言われたら、確かに納得かも……。ここに入ってかれこれ二年近くになるけど、仕入れ班の人を見たのはほんの数回程度。その上、どんな時であっても仕入れ班の人がゆっくりしているところなんて、見たことなかったな……。 だからって、新人の育成と怪我人の治療を担当する育成・医学班とか、戦闘班の後始末や囚人の看守を担当する始末班の人に任せてもよかったんじゃ……。さすがに、荒々しい人が多いという戦闘班の人には任せられないのは分かるけど。 「そして、大きな案件(しごと)を抱えていないのはお前以外にはいないことが一番大きい」 「た、確かに今、あまり大きい仕事は抱えていないけど、他にもやらなければならないことがあります!」 「……それは、お前にしかできない仕事、というわけではないのだろ?」 ぐっ……。た、確かにそうだけど、中途半端のままにするわけにはいかないのに……。そもそも、いきなり本人に言うっておかしい……いや、そもそも元帥があたしが大きな案件を抱えていないことを知っているんだろ? 「あの、元帥?質問ですが、どうして私が大きな仕事を抱えていないことを知っているんですか?」 「ピリスから聞いた。……そのことに、何か問題でもあるか?」 ちょ、ちょっと、ピリス班長……!!班長から直接聞いた……ということは、最初からあたしが元帥に呼ばれている理由は分かっていたんじゃ……。それなら何で、理由を教えてくれなかったんだろ?まさか……!?
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