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張りつめた空気が、不意に緩む。
私の方に向き直った圭吾が、不敵に微笑んだ。
「……秘密」
「……え?」
「まだ、教えない」
「どうして……」
「読者に先の展開教える書き手なんて、いないだろ」
「っ……でもっ」
突き放された、気がした。
圭吾がまた少し、遠くなるような感じがして……急激に寂しくなる。
私は縋り付くように、泣きそうになりながらも圭吾を見つめた。
私は、ただの読者じゃない。
そうでしょう?
そんな気持ちを、込めて。
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