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「じゃ、じゃあねっ! ばいばいっ!」
言うだけ言って、私は自分の荷物を手にした。
勢いのままに、ばたばたと帰り支度をしてドアに向かう。
けっこう大胆なこと言っちゃったんじゃないかな、私。
恥ずかしくって顔を上げられないよ。
ああもう、また気まずくなっちゃったらどうしよう……!
「……いーよ」
微かに聞こえた声に、動きも思考も止まった。
その言葉の意味を反芻して、噛みしめて、それから……ゆっくり振り返る。
圭吾は笑ってた。
普段は全然笑わない仏頂面のくせに。
意地悪してるわけじゃないって顔だから、言ってることは本気みたい。
本当、に?
本当に、期待して、いいの?
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