3549人が本棚に入れています
本棚に追加
「……よしっ!」
パンッ、と頬を軽く叩いて、私は気合いを入れ直す。
胸の中の期待の種が、苗木になって、樹木になっていくのがわかる。
でも、それだけに頼ってはいられない。
私は私で、圭吾のヒロインになるために、頑張らなくちゃ。
まだ、道は険しそうだけど。
その先に、光が見えた。
大きな一歩だ。
圭吾が笑ってくれた。
優しい微笑みで、私に向き合ってくれた。
それだけで、私は突き進んでいける。
「“いつか”なんて……、待ってられないんだからね!」
ふふっ、と笑って、私はぎゅっと拳を握りしめた。
遠い未来を近い未来にするために。
この恋をつかみ取るために。
私はきっと、彼のヒロインになったんだから。
End.
.
最初のコメントを投稿しよう!