1:ヒロインは、私?

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  「これ、圭吾(けいご)くんにって。里美(さとみ)さんに頼まれたの」 「……ええ~……!?」 嫌だ。ってことを少しも隠さずに、私は頬を引き攣らせる。 なのにお母さんはまったく気にせず、私に包みを押し付けた。 「お昼がなかったら困るでしょ、圭吾くんだって」 「……なんで、私が……」 「何を今更。さ、早く行きなさい、遅刻するわよ」 「お母さんのせいじゃんっ!」 もうっ! と膨れてみても無駄だ。わかってる。 私はせめてもの意地で振り返らずに玄関を飛び出した。 後ろから「圭吾くんによろしくねー」なんて、気の抜ける声が聞こえてくる。 「……っとに、あのバカっ!」 悪態をつきながら、私は駅へと走った。 .
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