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「紛失届け出して メリットなんかないだろ?」 「いや!デメリットを、 メリットにする」 「なんだよそれ…… 意味わかんねぇ」 慶大はそう答えて、 大きなため息を吐いた。 「あの時、俺さ、 訳のわからない世界に 突然きた…… 一人だったしさ、 だからパニクってたんだ。 必死で夜、 出歩いて、出口探して。 無論、その時、 俺の携帯はGPS着いてなかったから 自由にどこでも探し回れた。 入っちゃいけないとこにも、入れた。 GPS作動しなかった訳だし。 基本、 夜の移動に規制はないんだ。 恋愛してる奴らもいるし、休みに会ってる奴もいる。 金もねぇし せいぜい 散歩くらいしか出来ないデートみたいだけどな」 「だから?」 話しがそれた事に苛つき 慶大は先を促す。 「つまりさ、 携帯を部屋に置いとけばGPSで、 部屋にいると判断されるだろ?」 「だったら、 わざわざ紛失届け出す必要あるか? だって俺が…… つまり、あれだ 元の世界にいたなんて誰も知らない訳だし わざわざ携帯貰う意味ないだろ今の携帯にはGPSなんてついてないんだから 勝手に出歩ける」 リクは真っ直ぐに、慶大を見て答えた。 「嫌……多分わかってる」 「何をだよ!」 「俺もだったけど、 元の世界から来たって、奴ら知ってるんだ」 「チェックしてる。 どういう行動をとるか監視してるんだと思う。 だから、俺の携帯見ても 驚くこともなかった。 考えてもみろよ! 全員、同じ携帯を持ってるのに、 こっちの世界には 存在しない携帯を、 俺は持ってたのに、やつら俺の事 問い詰められる事もしなかったんだぜ。」 「つまり 相手に諦めたって思わせる為に、 紛失届けを出すって事か?」 「あ~あ。 多分ガードが緩くなると思う」
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