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リクの部屋を出て 階段を降りる。 夜風にあたって ふっと息を吐く。 「馬鹿らしい」 声に出して悪態をついた。 帰ってやるさ……絶対に 帰り道、探してやるんだ。 そう言いながら 本当に帰れるのか このまま、 夜の街を喚いて駆け出したい衝動にかられる。 リクと話しても 手掛かりがつかめなかった。 意味が、わからない。 きっと、リクにもわからないんだ。 ここにきて、半年…… ずっと、わからないまま 働いてるんだ。 きっと必死で出口探して歩いて、 答えすら見つからないまま、ここにいる。 嫌だ…… 俺は、帰ってみせる。 携帯をズボンのポケットから出して アパートの階段に座る。 美咲の番号を出して 呼び出し音を聞いた。 美咲が 電話に出る事はなかった。
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