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長い廊下を歩いて
徹の部屋のドアを開けた父親が
慶太とリクを見て言った。
「ここが、徹の部屋です。
あの時のまま、
何もいじらずに、そのままにしてあります。
自由に見てください。
何か今
飲み物を持ってきます」
二人は会釈して
父親を見送ると、顔を見合わせた。
慶太が徹の机の上にある教科書を
ペラペラとめくる。
「新品同様だ。
全く勉強した形跡もない。
こんな勉強、あいつには
くだらなかったんだろうな」
「なぁ~慶太、見てみろよ」
本棚に並んだヒットラーの本を
リクが手にとって慶太に見せた。
「この本棚、
ほとんどが
ヒットラーの本で埋め尽くされてる。
全部、関連書だ。
よくこれだけ集めたな。
難しい本ばっかりだ」
ドアが音もなく開いて
徹の父親が
小さな折りたたみのテーブルを広げると
トレーに乗せたコーヒーを置いた。
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