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「道混んでるなぁ~」
ハンドルを握り
少しイライラした口調で聡が言った。
「ごめんね。
私がお弁当作って、
もたもたしてたから……」
助手席に座る瑞穂が、
地図を両手に持ち
聡に謝った。
「いや。
きっと10時には着くよ」
「ねえ、この先の信号
左に曲がったら近道っぽいよ。
少し山道みたいだけど、行ってみる?」
「だめだよ!
この道曲がると、通行止め。
事故だってさ」
瑞穂は振り返って
トオルの顔を見つめた。
「なんで知ってるの?」
トオルが窓の外を眺めながら、瑞穂に答えた。
「さっき、書いてあったよ。
この先、左折50メーター先通行止めって
ママ水筒頂戴!
喉乾いちゃった」
瑞穂は頷いて
バッグから水筒を出してトオルに渡しながら、
聡に言った。
「だってさ。
諦めて真っ直ぐ行こう」
「あ~!
ゆっくり行こう。
動物園は逃げないしな。
しかし、トオルすごいなぁ。
ママより、ナビ上手いぞ」
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