墜落

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じりりと、私は後ずさった。 温人さんの眉が寄る。 「やっぱり……帰るね」 「どうして」 「勝手に家に来るとか ありえないし」 「俺は別に構わない。 むしろ奈々緒が ここを覚えていてくれて 喜んでるくらいだ」 どこまでも優しい温人さん 何も考えず その優しさに 包まれていたかった。 「奈々緒 君は一体 何を抱えてるんだ?」 「……何も」 「嘘つきだな。 俺には君が いまにも潰れそうに見える」 「潰れてしまえれば 楽になれるかもね」
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