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「おはよー、真守」
第一声、友達の祐介が声を掛けてきた。
祐介の表情や仕草には何の違和感もなく、教室の皆の僕を見る目も普段と何一つ変わっていなかった。
……徹、言わないでくれたんだ。
良かった。徹みたいな人は絶対に言うと思ってた。
ごめん、と徹を疑ったことを心の中で軽く謝った。
「どうしたんだよ、なんか顔色悪いぜ」
祐介が心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
「えっ、いや……別に。おはよ!」
祐介はいつものように面白い話をたくさんし始めた。
「そう言えばさー、サッカー部の1年に『サノテツ』っているだろ?」
と、祐介は自販機で買ってきたいちご牛乳を飲みながら言う。
見た目がすごくチャラくて、髪の毛は首まであってオレンジに近い茶色をしていたり、とっつきにくそうな容姿をしている祐介だが趣向は物凄く可愛らしい。
例えばクマのキーホルダー付けてる、とか。
まぁ、そんなことはどうでも良い。
サッカー部ではない祐介の口から『サノテツ』の言葉が出たことに驚
いた。
もう気づいているかもしれないけど、『サノテツ』とはもちろんアイツのこと――佐野徹のことだ。
皆からの愛称として「サノテツ」と言われてる。
本名そのまんまなんだけど。
女子の徹応援組なんかは、大きい布に「サノテツFight!!」なんて書いて試合中に振り回している。
僕には何の声援も無いってのに。
あ、補欠だから活躍も無いんだけど。
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