第1話

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結局、放課後まで徹に会うことは出来なかった。 何を言われるのかと考えると、とても会いに行く気になんてなれない。 でも、どうしたって部活に行くと会うことになる。 今日休んじゃおうかな……どうせ、僕がいたっていなくたって一緒だし。 そう思いながら放課後の教室で自分の机に座って悩んでいると、教室の扉が開いた。 僕の他に後2、3人生徒がいただけの静かな教室だったから、扉が開く音は教室に響いた。 その扉の向こうから顔を覗かせたのは――……僕が今、一番恐れている徹だった。 「先輩。良かったら、部室まで一緒に行きませんか」 「……!?う、うん……」 徹はいつもの無表情だから、何を企んでいるのか全く分からない。 でも、今まで徹にこういう風に誘われることなんて一度だって無かった、というより一緒に部室に行くような仲ではなかった。 これは僕への脅しみたいなもんだろうか。 「うん」と返事してしまったし、仕方なく席を立って一緒に部室に行くことにした。
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