第1話

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試合の日が来た。 それまでは、徹とは特に関わらないようにした。 また馬鹿にされるのが嫌だったし、とにかく――もう、あのことは忘れたかった。 多分、徹は誰にも言う気はないと思う。 そもそも、馬鹿にしてるような先輩の秘密なんて、何でもこなせちゃう徹が気にかける程のものじゃないんだろう。 試合中は補欠は応援に回る。 だから喉が枯れる。 試合もそろそろ終わりだ。 今はまだどちらも点を入れられていない。 ピリピリした空気が伝わってくる。 「あー……よし、楠木行ってみろ」 顧問の思いがけない発言に、目を見開いてしまった。 やった、ついに僕が出れる時が来た! ウォーミングアップを済ませて、レギュラーの選手と交代する。 よし、絶対活躍してみせる! もう徹になめられるなんて嫌だ。 僕だって先輩なんだ、もっと尊敬されたい!
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