第1話

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……え? 反則だ! だけど、試合はそのまま続行されている。 審判は何も言わない。 体格の良い3人が僕を取り囲んで、1人が足を引っ掛ける。 そうすることによって、審判の目を誤魔化したんだろうか。 そんな……。 僕は呆気に取られて、その場から動けずにいた。 「楠木ー!交代だ、交代!」 顧問の声がまるで遠くで聞こえているかのようだった。 僕は、失敗してしまった……。 悔し涙も何も出ない。 だって、僕は悪くないんだ。 あんな反則技使う方が悪いよ。 でも今日のことで完全にまた後輩になめられた。 それに、顧問ももう僕を補欠1にはしないだろう。 あーあ、やっぱりサッカーなんて向いてなかったんだよな。
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