第1話

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部室に戻って着替えていると、チームのメンバーも入ってきて着換え出した。 その時、同級の坂本というレギュラーメンバーが、僕に向けて唐突に言った。 「お前さぁ、ほんと下手クソだよな」 続けて隣にいた同級の2人も笑いながら言う。 「言うなってー。だから補欠なんだろ」 「お前もう辞めた方が良いよ。2年なのに補欠とか恥ずかしいだけだろ、正直。あんなチャンスでミスするかぁ?」 もうダメだ。 言葉が耳に入ってこない。 泣きそうだけど、ここで泣いたらもっと惨めだ。 悔しい。悔しいけど、僕は何か言える立場じゃない。 ただ俯くことしかできなかった。 分かってるんだよ、そんなことは。 もう辞めた方が良いってことは分かってるよ。 ああ、駄目だ。 やっぱり涙が我慢できそうにない――
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