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もう少しで目からこぼれそうになった時、
部室にあるロッカーが思い切り殴られる音が響いた。
ドォォン!と、物凄い音だった。
一斉に静まり返った部員の目線は、徹1人に向けられていた。
徹が自分の横にあるロッカーをグーで殴ったのだった。
「何だよ、徹。急に」
さっき僕に嫌味を言っていた1人が口を開くとすぐに徹が、大声を上げた。
「先輩らの方が下手クソじゃないですか?サッカーはチームのスポーツです。チームメイトのフォローも出来てねぇような奴がサッカー出来るわけねぇんだよ!!」
徹が怒鳴ったとこなんて、初めて見た。
いや、多分僕だけじゃない。みんなが初めて見た。
だから部室はより一層静まり返った。
徹が静寂を破って、続けて言った。
「今日のあれは、どう見ても敵側のズルです。あれが無ければ楠木先輩はシュート決めてました」
徹はいつもの冷静な徹に戻って、それだけ言うと2年の先輩から目を背けて帰りの支度をし始めた。
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