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翌朝、学校に向かう足取りは軽かった。
そうだ、今日徹にメアドでも聞いてみようかな。
今まで苦手だったからあまり会話もしてこなかったし、メアドも知らなかった。
学校に着くと毎日同じ繰り返しだけど、祐介が「おはよー」と言ってくれる。
「おはよ。祐介、それ何?」
祐介の机に置かれてあるネックレス。
可愛らしいシルバーのハートのネックレスだ。
「彼女へのプレゼント?……かな。ていうか、女の人に貰ってさ、でもどう見ても女物だし、彼女にでもあげっかなー、と」
と祐介はしれっと言うが、かなり酷い話しだ。
「女の人に貰ったって、誰に!?」
「んー……」
祐介はバツが悪そうな顔で言いにくそうにしていたが、答えてくれた。
「バイトしてるカフェの店長。結婚してるけど、すげぇ美人で金も持ってるから男で遊んでんだよ」
なっ!?
何だそのドラマみたいな設定は。
それにそんな美人妻に可愛がられてるような祐介も凄いとしか言えない。
その女の人に貰った物を何も知らず貰う彼女の気持ちがいたたまれないよ……。
祐介は本当に女の人の扱いが上手い。
幼馴染で、今までずっと一緒と言っても過言ではないぐらい過ごしてきたけど、小さい頃から大人の女の人に気に入られてたし、中学に入ってすぐに彼女が出来てたし……。
僕とは程遠い人物だ。
どうして僕の周りって凄い人が多いんだろう。
祐介にしろ、徹にしろ……あ、僕が駄目なだけなのかなぁ。
「でもそれを彼女にあげるのって失礼じゃないの」
「んー、まぁ俺が店長に気を遣って、気に入られるよう頑張った結果貰ったもんだから、俺が稼いだも同然だろ」
ははは、と祐介は明るく笑っている。
ポジティブ過ぎる。
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