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部室に入ると、昨日僕に突っかかってきた坂田とその取り巻き2人が待ち構えていた。
3人は部室のロッカーにもたれかかって、僕が来ると顔をこっちに向けた。
え、何だろう。
何かまた言われるのかな。
「昨日は悪かったな」
「言いすぎたよ、ごめん」
取り巻き2人が口をへの字に曲げながらぶっきらぼうに言った。
なんだ、良かった。
安心と、嬉しさが込み上げた。
意外と悪い人ってなかなかいないのかもしれない。
「うん、いいよ……僕が下手なのは本当だし」
「まぁ、今日も練習頑張ろうぜ」
取り巻き2人はそう言うと、部室を出て行った。
坂田はまだ残って、不機嫌そうな顔をしていた。
僕と坂田が2人きりになっても、相手は何も言う気配がないので、とりあえず練習着を鞄から取り出した。
すると坂田が突然話しかけてくる。
「あいつら徹にビビってるだけだ。徹に嫌われたら女にも嫌われるとでも思ってんだろ。お前に本気で謝ってんじゃねぇよ」
僕は何も返さないことにした。
坂田は僕の返答がないから、さっきよりも声を荒げて続けた。
「お前もさぁ、徹に媚び売ったりすんなよ。あいつが人気あるからって……そういうの卑怯じゃねぇの。つか1年に助けてもらうとかプライドねーの?」
坂田は顔色を変えて僕を睨みつけた。
「え?媚びって……そんなの売ってないよ」
「嘘付けよ」
吐き捨てるように言うと、坂田は部室を出て行った。
扉が思い切り閉められて、バン!と大きい音がした。
はぁ、と溜息をつく。
坂田とは前々から折が合わなかったけど、やっぱり上手くいかないなぁ。
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