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「先輩?」
……?
僕は、耳を疑った。
だって、僕の後ろに後輩の徹がいたんだから――。
「ッ、あ!え、あ!?徹!?」
慌てて手にもっていた本を後ろに回して隠すが、ここはBLコーナー。
どう言い訳しようと頭がぐるぐると回っていた。
「先輩、偶然ですね。この辺、家近いんですか?」
と、徹は何事もないように話しかけてくる。あの無表情な顔で……それが逆に怖い。
「え、ああ……うん、まぁ近いよ。徹も近いの?」
掠れた声で対応するも、今のこの状況をどうするのかに気が散ってろくに会話できない。
「近いですよ。てか、何見てたんスか」
冷や汗が止まらない。
僕はもう終わりだ……
これまでの苦労の日々がこんなにあっさり終わってしまうなんて……
それも、こんな僕とは正反対の「出来るヤツ」に見つかって弱みを握られてしまうなんて!
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