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僕は逃げようとして走り出そうとしたけど、徹に強く腕を引かれた。
こいつ、逃がさない気かよ!?
もう、僕をどうしようってんだよ。
徹は僕を思い切り引きつけて、顔と顔が触れそうになるぐらい近づけた。
徹の整った顔が間近に来て、僕は何故か恥ずかしくて目を逸らした。
そのまま徹は僕の耳に口を近づけた。
「先輩、それ……誘ってます?」
と、小さい声で、耳元で、囁かれた。
囁かれたことに、不覚にもドキッとしてまた顔が熱くなった気がするけど、どういう意味なのかよく分からない。
誘ってるって……僕が?いつ?
本屋のBLコーナー辺りはもうざわざわしていた。
そりゃそうだろう、どう見たってこれ……。
それに徹の顔が近くて、男相手だって分かってるけど、それでもやはり恥ずかしい。
「はっ、離せ!」
僕は渾身の力で徹の腕を振り切って本屋から飛び出した。
走って走って、とにかく走って家まで辿りついた。
もう何が何だか分からない。
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