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荒く乱れた呼吸音が室内に響く。
まだ止む気配のないそれをどこか遠くに聴きながら向けた視線の先には、閉めきれていないカーテンの隙間から暗闇がこちらを覗いている。
枕元の時計を確認すると夜中の三時だった。
顔や首筋に滲んだ汗に顔をしかめながらベッドから降りて部屋を出る。
キッチンで汲んできた水を一気に飲み干すと、倒れ込むようにソファに座った。
力の抜けた手からコップが落ち、鈍い音を立ててから足元を転がっていく。
泥のように重い身体がソファに沈み込んでいく。
月明かりだけの薄暗い室内、そこはいつもと変わらない空間でしんと静まり返っているのに、
赤く染まった新雪や粉々のガラス、だらりと横たわる人間が映し出され、泣き叫ぶ声が響いている。
――また、間に合わなかった。
夢の中でも、叶わない。
こびりついている映像を振り切るように、ようやく落ち着いてきた呼吸に集中しながら俺は瞼を閉じた。
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